先日、アメリカの有名な歌手、マライア・キャリーさんが自身が「双極性障害」であると告白されました。
彼女は雑誌のインタビューで２００１年から２０１７年の１７年間、双極性障害に苦しめられてきたと述べてます。
プライベートで色々な事があり、彼女自身も過労と不眠からくる体の変調だと思っていたらしいのですが、あまりにもつらかったので治療を受けたと言っています。
彼女を苦しめた双極性障害とはどんな病気なのでしょうか。
またどんな治療法があるのでしょうか。
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双極性障害とは
双極性障害とは「躁うつ病」の事を意味します。
気分が高揚したり、攻撃的な状態になる症状を「躁病」といい、何もしたくないほど落ち込んだり、体が動けなくなるなどの症状を伴うのが「うつ病」です。
「双極性」という文字通り、躁状態とうつ状態を繰り返すのが双極性障害です。
双極性障害には症状によって２つに分けることができます。
双極Ⅰ型障害
躁状態の後に落ち着いた状態になり、その後うつ状態になるのを繰り返すのが「双極Ⅰ型障害」です。
そう状態とうつ状態のサイクルは平均数年で繰り返されます。またそう状態とうつ状態が混ざった状態になる事もあります。
双極Ⅱ型障害
軽い躁状態とうつ状態を繰り返すのが「双極Ⅱ型障害」の特徴です。
かかった人は軽い躁状態を病気と自覚できず、うつ状態だけを自覚するのでうつ状態に繰り返しなっているという認識をされている方が多い病気です。
躁状態の特徴
躁状態になっているときは以下のような特徴が見受けられます。
前提条件：高揚した気分がずっと続き、社交的になり、またはちょっとしたことに腹を立てるような普段とは違う精神状態が１週間以上続く場合
- 何でもできるような気がして、気持ちが大きくなる。
- 少ない睡眠時間や寝なくても元気に過ごせる
- 話好きになりずっとしゃべり続ける。話し相手を探して誰にでも電話をかける。
- 色んな事がどんどん思いつき、会話が話題があちこちに飛ぶ。
- 落ち着きが無くなって物事に集中できなくなる。
- 精力的に仕事をこなすようになるがやりすぎて逸脱することが多くなる。
- 浪費が激しくなる。高額な買い物や旅行など後先考えない消費活動をする。
前提条件を含めて４つ以上当てはまる項目があり、なおかつ仕事や学校で人間関係がうまくいかない事が多くなっていれば、そう状態と診断されます。
うつ状態の特徴
一方、うつ状態は以下のような症状がみられます。
- 落ち込んだ気分
- 物事に関心を失ったり、何かあっても喜ぶ事がほとんど無くなっている状態。
- 体重が極端に増えたり減ったりする、または食欲旺盛、食欲減退。
- 眠れなくなる、またはいつまでも寝ている状態。
- いつも何かに焦っている、または後ろ向きになる。
- いつも疲れた感じがする、または何もやる気にならない状態。
- 物ごとに価値を見出せない、または必要以上にこだわる、罪悪感が無くなる。
- 物事が考えられなくなる、または何も自分では決められなくなる。
- 死について繰り返し考えるようになる、自殺願望を持つ、または計画をする。
上記条件のうち、落ち込んだ気分または物事に関心を失った状態を含む５つの項目が当てはまるとうつ状態と診断されます。
他人事ではない軽躁状態とは
躁状態とうつ状態は症状の程度にもよりますが本人も何かおかしいなと感じる事が出来ますので、医師に相談するときも症状を伝えることができます。
しかし軽い躁状態は躁状態と違って普段より体の調子が良い、何か元気がどんどん出てくる、仕事がどんどんはかどる、など社会生活ではむしろ前向きな方向の症状しか出ないので本人が自覚することが難しいと言われています。
実際に軽躁状態の時に仕事が成功する人も多くいます。寝ないで不眠不休で事業を成し遂げたという人は軽躁状態であった可能性もあります。
怖いのは双極性障害だとこの後にうつ状態が来ます。
うつ状態の時に軽躁状態で無理して体がボロボロになったことを後悔して自殺をする患者もいる事から軽躁状態を伴う双極Ⅱ型障害も周囲が必要です。
どんな治療法があるの？
双極性障害は遺伝的な原因が多いと言われています。
医師の診断によって薬を処方されることがありますが、かなりの確率で再発します。
薬の処方のほかに、患者さんに対しては心理教育を行うことも多いです。教育内容はストレスを感じないような対人関係の作り方やストレスを軽減する生活習慣を指導します。
規則正しい睡眠時間を確保して、精神に影響を及ぼすお酒を控える、まだまだ頑張れると思っても無理な仕事をしないなど、具体的に指導されます。
ただし、残念ながら現在は完治が難しい病気と言えます。
おわりに
世界保健機関では双極性障害にかかっている人は約６０００万人いると推定しています。全人口の約１％ですので珍しい病気ではありません。
残念ながら完治は難しいとのことですが、安定した状態を長く保つ方法はだんだん分かってきています。
まだ原因がはっきりしないので特効薬は期待できませんが、心理治療を受けて社会生活を続けることは難しくないところまで来ているようです。
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